R Nine T UrbanGS

R Nine T Urban G/Sは2017年に発売開始。その前年の2016年にまず、コンセプトモデル「Concept Lac Rose（コンセプト・ラック・ローズ）」がお披露目されました。かつてパリ・ダカールラリーで1984年から3連覇を果たしたBMWファクトリーチームのR80G/Sをオマージュしたもので、R Nine Tをベースにフロントを19インチ化、前後サスペンションのロングストローク化が実施されました。

そしてこのLac Roseを公道向け市販車としてリファインしたのが、他ならぬR Nine T Urban G/Sなのです。R80G/Sを彷彿とさせるビキニカウルに大型のアップフェンダー、ホワイトのボディに専用のレッドのシートを組み合わせ、さらに燃料タンク脇には、R80G/Sに用いられていた濃淡2色のブルーのグラフィックがあしらわれているという、まさにオールドファンの心をくすぐる演出が施されました。

BMWのGSと言えば、ご説明するまでもなく、同社の誇るビッグオフローダーモデルになります。本家のRシリーズGS、弟分にあたるFシリーズGSは、BMW全体のなかでも高い人気を博しているのはご存知の通り。対してR Nine Tは、いわゆるネオレトロに分類される車種。古き良き時代の雰囲気を醸し出しながら、中身はハイレベルの走行性能という、近年注目を集めるカテゴリーです。

R Nine T Urban G/Sは言わば、そうした異なる趣を、違和感なく巧みに組み合わせているというのが大きな魅力。GSシリーズの始祖というべき1980年代のR80G/Sを、ネオレトロであるR Nine Tをベースに再現するというのは、それこそBMWでなければできない手法であり、高い完成度で仕上げているのも秀逸です。さすがはBMWといったところでしょうか。