Superbike 1198 S

Superbike 1198 Sは2009年に登場。2007年に999からフルモデルチェンジが慣行された1098のデザインを受け継ぎながら、エンジンを車名の通り1198ccに排気量アップ。その上で前後オーリンズ製サスペンションとステアリングダンパーを装備し、量産市販車としていち早く、DTC（ドゥカティ・トラクション・コントロール）を搭載したのが、Superbike 1198 Sになります。

今でこそトラクションコントロールは当たり前のように装備されるようになりましたが、2009年の時点で、先駆けて搭載されたというのが、このモデルならではの注目ポイントとなっています。

ドゥカティが手掛けるスーパーバイクシリーズと言えば、1993年に登場した916以来、センターアップ式のマフラーレイアウトを一貫して採用してきたことが、大きな特色でした。空気抵抗を軽減するという目的もさることながら、外観デザイン的なカッコよさという点でも大きな魅力と言えるでしょう。

しかしながら、そんなセンターアップ方式を採用したのは、この1198シリーズが最後。後継の1199パニガーレからは、重量バランスを重視したローダウンスタイルとなります。ゆえにSuperbike 1198 Sは、センターアップとしてのラストかつ、足回りがグレードアップされた「S」モデルであることが、ならではの魅力となっています。

Superbike 1198 Sは率直に言ってしまえば、外観デザインこそスタンダードの999とほぼ同じですが、その中身は全く別物と言ってよい位、当時のテクノロジーが詰め込まれています。

とりわけエンジンは「R」専用にビッグボア&ショートストローク化がなされており、大径化されたバルブもチタン製の専用品を用いるなど、徹底したこだわりが貫かれています。新車時のスタンダード仕様との価格差が話題となりましたが、それに見合うだけの内容が施されているのです。