FXSTソフテイルスタンダード BV5

FXSTソフテイルスタンダードという車名が初めて登場したのは、実に1984年まで遡ります。ハーレーの歴史的に言えば、AMF社傘下で悪化していた経営を、ハーレー生え抜き社員により株式の買戻しによって再建し、品質を大きく向上させたエボリューションエンジンを登場させたという時期。そんなタイミングで登場したのが、今なおハーレーの中核モデルファミリーに君臨し続けている、ソフテイルファミリーだったのです。

1930年代頃の、古き良き時代のハーレーの特徴であるリジッドフレームを外観的に蘇らせながら、車体の底面に外から見えないようにリヤサスペンションを装着し、乗り心地や走行性能は現代レベルとするという、まさに画期的な車体構成でした。そして、そのソフテイルファミリーの大元となるモデルとしてラインアップされたのが、他ならぬFXSTソフテイルスタンダードでした。

FXSTソフテイルスタンダードは長きに渡り、また車名の通り、ソフテイルファミリーのスタンダードモデルとしてのポジショニングを担い続けていました。大きな特徴としては、足を前に投げ出すフォワードコントロールと21インチのフロントスポークホイール。このスタイルを一貫して守り続けていたのです。しかし、FXSTは2011年モデルをもって、一旦生産終了という事態に。

そして2020年、FXSTソフテイルスタンダードは復活を果たしますが、足を真下に降ろすミッドコントロールとフロント19インチタイヤという、かつての特徴とは異なる方式で再登場となりました。それゆえ、この2010年式のFXSTソフテイルスタンダード BV5は、FXSTがFXSTらしかった時代の、貴重なモデルであると言えるのです。