BALIUS-A4 ZR250A

BALIUSは1991年、同じカワサキが手掛けたゼファー400によって到来したネイキッドブームのなか、250cc水冷直列4気筒エンジン搭載のスポーティネイキッドとして登場しました。当時は80年代後半のレーサーレプリカブームの余波がまだ残っていた時勢。カワサキは2ストレプリカは手掛けていなかったものの、4ストレプリカとして発売していたZXR250/Rの水冷直列4気筒エンジンを、ネイキッドモデルに転用。それこそが初代BALIUSだったのです。

レーサーレプリカベースの水冷4サイクルDOHC直列 4気筒は、15,000rpmまで回る高回転型。そのパワーを受け止めるためにワイドなタンクレールを持つスチール製フレームを採用。さらに走りのスポーティさを重視するために、リヤにモノショックサスペンションを採用しているのが、後のBALIUSⅡとの大きな違いとなっています。なお、1994年式のBALIUS-A4 ZR250Aには、新たにハザードランプが追加されています。

1980年代のレーサーレプリカブームと1990年代のネイキッドブームは、ある意味、両極端な現象でしたが、必ずしも白黒ハッキリと別れていたわけではなく、いわばその中間的な、両者のいいとこどりをした車種も存在していました。その代表格が、他ならぬこのBALIUSでした。

外観こそ丸目ヘッドライトでカウルレスのネイキッドスタイルですが、心臓部はレーサーレプリカ譲りの直列4気筒。リヤサスペンションはスポーティさを重視したモノショック。同時代の250ccネイキッドとして、類似したコンセプトをもつホンダ・ホーネット250と人気を2分していたことからも、時代のニーズを的確かつ上手に汲み取っていたモデルであったということが感じられます。それこそが、BALIUSならではの魅力と言えるでしょう。