ZZR1100 ZXT10C （平成4年式）

カワサキのZZR1100といえば世界最速を目指して作られたツアラーバイクとして名高いシリーズ。そのルーツは、昭和の終わりに起こったリッターレプリカブームやスーパースポーツブームにありました。当時はホンダCBR1000F、ヤマハのFZR1000などのハイパワーバイクが続々と誕生し、メーカー間での開発競争が激化していた時代です。そこで登場したのが、カワサキの「ZZR1100」シリーズです。

1986年、1988年と進化を遂げ、現在でもよく知られている「ZZR1100 ZXT10C」が登場。過激でスポーツ性重視のレーサーレプリカバイクとは一線を画し、長距離・長時間を高速で安定して走り切る性能を実現しました。90年～92年にはC1からC3までの「Cタイプ」が発表され、1993年にはフルモデルチェンジを果たした「Dタイプ」が誕生。カワサキの技術が活きたツアラーの系譜として、多くのユーザーから愛されています。

速さや安定した走行性にこだわり、これまでのブームとは一線を画したツアラーバイクとして誕生したZZR1100 ZXT10C。しかし、発表当初はさほど注目されていなかったという事実があります。圧倒的な運動性能を備えた高速ツアラーという触れ込みは、当時の国内ユーザーには響かなかったのです。当初のバイク情勢には「大馬力=反王道、反主流」という風潮が生まれつつあったことが、その状況を作り出します。

そんなZZR1100 ZXT10Cですが、欧州や北米では発表当初から熱烈な歓迎を受けることに。GTツアラーの本場である北米・欧州では、高速で安定した走りを見せるZZR1100 ZXT10Cの機能性はまさに理想的なものだったといえます。その後フルモデルチェンジなどを経て、ZZR1100 ZXT10Cを含めたZZR1100シリーズは、国内でも根強い支持を受けるツアラーバイクとなりました。

ZZR1100 ZXT10C（1991年式）

ZZR1100 ZXT10 D7（1999年式）