バイクを買取に出すときは、名義の変更など様々な手続きが必要になります。保険の取り扱いもその一つです。バイクの購入時に必ず加入しなければならない自賠責保険に加え、任意保険にも加入している人も多いでしょう。
ここでは、バイクを買取に出すときの保険の取り扱いについてまとめて解説していきます。
自賠責保険の返金システムは排気量によって異なる
バイクに乗るときは、当然ながら自賠責保険に加入していなければなりません。1年契約、2年契約、5年契約などの期間を決め、かならずバイクに乗る前に自賠責保険に入ります。
ところで、自賠責保険の契約期間がまだ残っているにも関わらずバイクを売ってしまう場合、残りの保険期間分として払ってしまった保険料はどうなるのでしょう?お金は戻ってくるのでしょうか?
答えは「排気量によって違う」ということ。250ccを境に、自賠責保険の残額の扱いは異なります。結論だけ言えば、売主が大きく損をする、ということはないので安心してください。ただし、保険の残り期間によっては、解約しても微々たるお金しか戻らないこともあるので承知しておきましょう。
ここでは、バイクを売るときの自賠責保険の扱いについて詳しく見ていきます。
バイクを売るときの自賠責保険の扱いは?
排気量によって自賠責保険の扱いが異なる
バイクを売る時、自賠責保険を一緒に解約できるかどうかについては、「車検が必要なバイクかどうか」で決まります。
ご存知の通り、250cc以下のバイクなら車検は要りません。251cc以上のバイクには車検が必要です。よって、バイクを売る時の自賠責保険の扱いは250ccを境目に取り扱いが変わる、と考えておきましょう。
250cc以下のバイクを売るときは自賠責保険も一緒に解約できる
原動機付自転車も含め、250cc以下のバイクを売る時には、自賠責保険の残りの期間について解約することができます。解約すれば、保険会社から過払いとなっている保険料を返金してもらうことができます。
ただし、単純に保険料の月割り計算分が返金される訳ではないので注意してください。自賠責保険の解約においても、保険に特有の「解約返戻率」を基準に返金額が決まります。保険契約期間が残り少ない場合、各種の手間を考えると「解約しないで放置していても良かった」ということにもなりかねません。保険会社に返金額を確認したうえで、解約すべきかどうかどうかを各自で考えるようにしましょう。
251cc以上のバイクを売るときは自賠責保険を解約できない
251cc以上のバイクを売るときには、自賠責保険を解約することができません。車検と自賠責保険がセットになり、次のオーナーへと引き継がれる形になります。
すでに払込済の保険料については売却査定額に上乗せされるため、特に売主が損をするということはありません。
排気量に関わらず、廃車にするときには自賠責保険を解約できる
バイクを売るのではなく、バイクを廃車にする場合には、排気量に関わらず自賠責保険を解約することができます。
自賠責保険証明書、印鑑、廃車を証明する書類、新しいバイクの車体番号を確認できる書類、ナンバープレートに添付しているステッカー等、保険会社の求めに応じた書類を用意して所定の手続きを行なってください。
新しいバイクに自賠責保険を引き継ぐことも可能
古いバイクを売って新しいバイクに買い替える場合、古いバイクで契約していた自賠責保険を新しいバイクに引き継ぐことができます。この手続きのことを「車両入替」と言います。
「車両入替」は、①250cc以下のバイクであること、②古いバイクの廃車を証明する書類が必要となること、③買い替えるバイクの排気量等によっては「車両入替」ができないことがあること、以上の3点を承知しておきましょう。
自賠責保険を解約することがお得かどうかをよく考える
自賠責保険を解約することで、過払いとなっている保険料については、保険会社から返金してもらうことができます。ただし、すでに説明した通り、返金額は月割で計算される訳ではありません。払込済の保険料に「解約返戻率」という比率を乗じた金額が返金されることになります。
仮に2年間の自賠責保険に加入している場合、保険契約の残期間に応じた「解約返戻率」の目安は、おおむね次の通りです。
解約返戻率の目安
残り24ヶ月 | 100% |
---|---|
残り18ヶ月 | 37% |
残り12ヶ月 | 25% |
残り6ヶ月 | 12% |
残り0ヶ月 | 0% |
2年契約をした当日に解約をすれば、保険契約の残期間が24ヶ月となるため、払った保険料の100%が戻ります。
しかしながら契約から半年経つと、保険契約期間がまだ1年半も残っているにも関わらず、解約返戻率は37%と半分以下に。契約から1年後には25%、契約から1年半後には12%まで下がります。
「保険契約期間が残り6ヶ月もあるから自賠責を解約しよう」と考え、様々な煩わしい手続きを行なったとします。しかしフタを開けてみれば、通帳に入金されたお金は数百円程度だった…、ということもありうるでしょう。
手間と金額を考慮し、解約することが本当に得策かどうかを考えて行動してください。
【まとめ】バイク買取業者によく相談しよう
自賠責保険が残ったままのバイクを売る際、250cc以下であれば自賠責保険の残りを解約することが可能。ただし250cc以上であれば、車検と一緒に次のオーナーに自賠責保険が引き継がれるため、解約することはできません。
また、仮に自賠責保険の解約をできる状態であったとしても、残りの保険期間次第では、あまり得策とは言えない事態になる恐れもあります。
バイクを売るときの自賠責保険をどのように扱うべきか、買取業者さん等によく相談してみてください。提示されるいくつかの方法の中で、もっとも自分が得をすると考えられる方法を選択するようにしましょう。
任意保険を解約すれば過払い保険料の一部が返金される
バイクを買った時、自賠責保険とは別に、ほとんどの方が任意保険に加入していることでしょう。任意保険の保険料には、月払いと一括払いがありますが、割安な一括払いを選んでいる例が多いようです。
ところで、任意保険を一括払いした場合、まだ保険期間が残っている間にバイクを売ってしまったら、過払いとなっている保険料は返金されるのでしょうか?返金されるとすれば、その金額は月割で計算されるのでしょうか?
結論から言うと、保険期間が残っている間にバイクを売り、なおかつ任意保険の解約手続きを行なった場合には、過払い分の保険料が返金されます。ただし「短期料率」という制度が適用されるため、月割計算よりは低い返金額となるのが通常。返金額が割安になるとは言え、特に125ccを超えるバイクの場合は任意保険の保険料は決して安くはありません。バイクを売る際には、忘れずに任意保険の解約手続きを行ないましょう。
バイクを売る時に任意保険を解約すると得するの?
■残りの保険期間によって保険料の一部が返金されることもある
任意保険の保険期間が残っている状態でバイクを売る場合、保険会社に申請すれば途中解約をすることができます。一括で保険料を支払っている場合、解約によって返金が生じる可能性があるので、保険期間が残っている場合には解約手続きを忘れないようにしましょう。
・任意保険の解約は難しくない
任意保険の解約は、基本的に保険会社に解約の旨を伝えて所定の手続きをするだけで、比較的簡単に解約をすることが可能。解約に必要なものは以下の4点になります。
- ①保険証券
- 契約の際にかならず交付されています。紛失した場合は、保険会社に申し出て再発行手続きをしましょう。
- ②身分証明書
- 運転免許証やパスポートなど、なるべく顔写真入りの身分証明書を用意してください。
- ③印鑑
- 解約書類には捺印が必要です。認印でも構いません。
- ④銀行口座
- 返金される保険料の振込口座です。
■バイクを処分するときの任意保険の解約手順
以下、バイクの処分方法の違いに応じた任意保険の解約手順について確認します。
・バイク買取業者にバイクを売る場合
保険代理店、または保険会社の支社等に連絡をし、解約書類を取り寄せます。必要書類をそろえて返送すれば、解約手続きが終了です。
買取業者が保険代理店を兼務している場合、出張査定の際に解約手続きをしてもらうことも可能。ただし、業者によっては手続き代行手数料が発生することがあるので注意してください。
・バイク屋さんにバイクを売る場合
バイク屋さんが保険会社の代理店を兼務している場合、バイクを売る際に任意保険の解約手続きをすることができます。
バイク屋さんは、基本的に手続き代行手数料を請求しません。バイクを売る際、忘れずに保険証券や印鑑などを持参しましょう。
・個人取引でバイクを売る場合
ネットオークションや知人間等での売買の場合、任意保険は自分で解約しなければなりません。保険代理店や保険会社等に連絡をし、解約に必要な書類を取り寄せた上で手続きを行なって下さい。
・バイクを廃車にする場合
バイクを廃車にする際は、自分で任意保険の解約手続きを行ないます。保険代理店や保険会社に解約を申し出た上で、所定の手続きを行なって下さい。
■一括で保険料を支払っている場合には「短期料率」が適用される
任意保険の保険料を、年単位等で一括払いしている場合、解約によって生じる返金額は月割計算になる訳ではありません。支払済の保険料に対し、いわゆる「短期料率」を乗じて算出された金額が、実際の返金額となります。
1年契約の場合で、かつ半年の保険期間を残して解約した場合、一般に返金される金額は30%程度。契約期間が半分残っているからと言って、保険料の半額が返金される訳ではない点、承知しておきましょう。
■【大前提】たとえ50ccでも任意保険には入るべき
バイクに乗る際に加入する保険は2種類。自賠責保険と任意保険です。
自賠責保険は加入が義務付けられているため、否が応でも入らざるを得ません。それに対して任意保険は、文字通り、入るかどうかは「任意」。つまり、入らないという選択肢も用意されているのです。
ところで自賠責保険が補償している内容は、あくまでも「他人の身体に対する被害」のみ。すり抜け走行中、フェラーリに傷を付けてしまっても自賠責保険では補償されません。自爆事故によるバイクの破損や自分のケガについても、自賠責保険では補償がありません。バイクが盗まれても、警察が犯人を見つけてくれな限り、泣き寝入りです。
自賠責保険は義務であり任意保険は任意ですが、これら現実的な観点から、任意保険にも必ず加入しておくようにしましょう。
【まとめ】手続きはシンプル!忘れずに解約手続きを
車を所有している場合、125ccまでのバイクであればファミリーバイク特約に加入できるため、バイクにかかる任意保険料はかなり安く抑えられます。しかしながら125ccを超えた排気量になると、バイク単独で任意保険に加入しなければならなくなるため、保険料はグッと上がります。
バイクの任意保険の解約手続きは、自賠責保険の解約手続きとは異なり、廃車証明などの面倒な書類は必要ありません。いたってシンプルな手続きのみで完了するので、バイクを売るときには忘れずに任意保険の解約を行なうようにしましょう。
任意保険を解約せずにバイクを買い替える
バイクに乗り続けるなら「車両入替」の検討も手
所有していたバイクを売却して、すぐに別のバイクを購入するのであれば、任意保険を解約せずとも、「車両入替」の手続きを行うことで、加入していた任意保険を継続することができます。
ただし、バイクを買い替えたからといって、自動的に車両入替の手続きが行われる訳ではありません。加入している保険会社の窓口にて、車両入替の手続きを行う必要があります。忘れてしまうと、乗り換えたバイクで万一事故を起こしてしまった際、保険金が支払われないことになってしまいますので、十分ご注意ください。
車両入替の場合、等級・保険料はどうなる?
以前のバイクを売却し新たにバイクを購入したという場合、きちんと手続きを行えば、買い替え前の保険等級を引き継ぐことができます。バイクの車両を入れ替えたからといって、等級がリセットされ保険料が高くなってしまうということはありませんので、ご安心ください。
ただし、これは自動2輪車から自動2輪車から乗り換えた場合。自動2輪車から4輪車に乗り換えたという場合には、車両入替の対象とはならず、新規契約の扱いとなります。等級も引き継ぐことはできず、新たに6等級からのスタートとなります。
同様に、原付から自動2輪車、あるいは自動2輪車から原付という場合も車両入替の対象とはならず、新規に任意保険に加入する必要があります。これらの点には、十分注意が必要です。
車両入替のタイミングは?
任意保険の車両入替の手続きは、買い換えた新しいバイクの納車日が決まった時点で、速やかに行うことが賢明です。納車日当日から、保険の効力が発生した状態でバイクに乗ることができます。なお、納車日以降でも車両入替の手続きを行うことはできますが、手続きが完了するまでの間に、任意保険が効かない空白期間が生じてしまいますので、ご注意ください。
車両入替のタイミングは?
任意保険の車両入替には、新しいバイクの「車検証」、125cc超250cc以下の場合は「軽自動車届出済証」、原付の場合は「標識交付証明書」が必要となります。この点は概ね、どの保険会社にも共通しています。
ただし、手続きのタイミングなどで、これらの書類が用意できないという場合には、売買契約書などで車名、登録番号(ナンバープレート)、車台番号、所有者、使用者といった情報を確認できればOKというケースもあり。
なお、保険料の差額の精算が必要となる場合には銀行口座の情報なども必要となります。また保険会社によってはバイクの積算距離計(オドメータ)の数値が必要な場合もありますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
入替をしたら補償内容を見直すべき
任意保険の車両入替は、基本的に以前のバイクにかけられていた補償内容を、新しいバイクにそのまま引き継ぐことになります。それゆえ、車両入替を行う際は、補償内容を今一度確認し、新しいバイクに乗る場合にも適しているかどうかをしっかり検討しておくべきです。例えば、小型バイクから大型バイクに乗り換えた場合、対人・対物補償をより手厚くするといった対応が望ましいと言えます。
次に乗るまで期間が空くなら「中断」も◎
それまで乗っていたバイクを売却した後、すぐに別のバイクに乗り換える予定はないものの、半年後、あるいは1年後位にまたバイクに乗る予定があるなどの場合には、任意保険を解約してしまうのではなく、「中断」の手続きを行い、中断証明書を発行してもらうとよいでしょう。
とりわけ割引等級が7等級以上であれば、その等級をそのまま維持し、最長10年間中断することができます。任意保険は一旦解約してしまうと、割引等級はリセットされてしまいます。他方、中断であれば、以前の割引等級から再開することができますので、有効活用しない手はありません。
仕事の関係で一定期間、海外に赴任することになったという場合や、妊娠・出産の関係でバイクを一時お休みするといった場合には、解約ではなく中断で割引等級を維持しておくというのが賢明なやり方です。